契約書とは簡単にいうと双方が同意した内容を記録するための書類ですが、双方が合意済みだからといって要約された短い契約書を交わしたために後々訴訟問題に発展してしまうケースがあります。

要約された不明確な契約書を交わしても、紛争や認識に誤解がない限り問題が発生することはあまりありませんが、少し摩擦が生じてくると正確な契約書の重要性に気がつきます。曖昧に書かれた契約書は誤解を生み、悪気がなくても契約違反につながり、紛争に発展する可能性があります。

万が一、法廷闘争に発展しても契約書の内容が明確に書かれている場合は、どちらが条件を破り守ったかの契約違反の判決を争うことになり、判決までの時間も短く済む場合が多いといえるでしょう。

しかし、曖昧な契約書や重要な条件が抜けている場合は、契約内容や条件が不明確なため、裁判ではまず契約内容から争うことになります。結果的に争う内容が増えるため、判決が出るまでの法廷時間も長くなり、事件に関する費用や弁護士費が高くついてしまいます。

米国の法廷では重要事実に争いがない場合には、正式な裁判の前に申立てによる略式裁判の判決（英語でSummary Judgementと言う）を得ることができます。

早く裁判の判決が得られるため、裁判の時間が短縮され、事件に関する費用や弁護士費をだいぶ抑えることができます。

しかし、契約書の内容が不明確な場合は略式裁判の判決を得ることが難しくなり、正式な裁判まで訴訟が続いてしまう可能性があります。

よく契約を守っていない契約者が略式裁判の申立てが成功しないように、わざと契約書の条件などをごまかそうとすることがありますが、契約書の条件に少しでも曖昧な点があると裁判の判決が難しくなります。

契約を締結する前に条件だけではなく、訴訟に発展したらどういう結果になるかを事前に考える必要があるので、重要な契約書を交わす前に弁護士に相談されることをおすすめします。

お断り：当コラムは法的なアドバイスではありません。提供している情報は一般的なケースであり、全てのケースに当てはまるわけではありません。個別のケースに関して法的なアドバイスが必要な方は弁護士にご相談ください。